
バカリズム脚本で話題になった地元系エイリアン・ヒューマン・コメディー「ホットスポット」2025年1月12日から放送され、3月16日(日)に最終話を迎えた。
山梨県のビジネスホテルで働く遠藤清美(市川実日子)は、娘・若葉(住田萌乃)を女手一つで育てながらフロント業務に勤めている。ある日、自転車で帰宅中に交通事故に遭いそうになるが、間一髪で先輩・高橋孝介(角田晃広)に自転車ごと抱えられ命を救われる。人間には絶対できない救助方法なので、清美が高橋を問い詰めると、高橋が自分は宇宙人だとカミングアウトする。秘密にしておいて欲しいと頼まれるが、地元の幼馴染みの美波(平岩紙)と葉月(鈴木杏)に話してしまう。
コメディー作品ではありながら様々な謎が散りばめられ、最終話で多くの謎・伏線が回収された。しかし、伏線かと思われていたキャラクターやシーンが特に触れられずにそのまま終了したのもいくつかあった。
今回は、「回収された伏線」「されなかった伏線」を10選紹介。
回収された伏線《1》 謎の男はタイムリーパーだった
第9話で突如現れたFのキーホルダーを付けた謎の男(山本耕史)だが、彼はタイムリーパーだった。彼は町を救うために清美たちに協力を要請するが、頼みに来るのが遅く、すでに問題は全て解決していたというオチだった。
回収された伏線《2》 突如現れた女は幼馴染み
第9話で、地元の同級生仲間の中に突如現れた謎のキャラクター(山田真歩)は、清美たちの中学時代の同級生。なぜ彼女が急に登場したのかや、彼女が高橋を宇宙人だと知るくだりがきちんと描かれていた。
回収された伏線《3》 「遺産相続レース」の勝者が決定
清美たちの同僚で、主にフロント業務を担当していた小野寺(白石隼也)というキャラクターがいる。物語初期からいたにもかかわらず、出演シーンは少なかった。小野寺自身には特に秘密はなかったのだが、なんと紆余曲折を経て彼がホテルの新オーナーに就任する展開に。清美が密かに狙っていた「遺産相続レース」の勝者が小野寺になったという伏線が回収されたのだった。
回収された伏線《4》 「本物の幽霊」が登場
第4話で清美たちのホテルの角部屋に幽霊が出るという騒動があった。そのときは不正宿泊していた女が隠れていただけという落としどころになっていたが、実はそのシーンをよ~く見ると、画面には薄っすらと窓の外にいる女が映っており、本物の幽霊がいるのではと視聴者の間で話題になっていた。そして最終話で宇宙人・高橋がくだんの角部屋に泊まることになり、今回はうらじぬの演じる本物の幽霊が大胆に登場。
回収された伏線《5》 なんと清美の娘と元夫も宇宙人
最終話の終盤で、清美の娘・若葉と離婚した元夫(大倉孝二)も、実は宇宙人の血を引いていることが、さらっと明かされた。若葉は初回からよく登場していたのだが、これまで特に掘り下げられていなかっただけに、何か秘密があるのではと勘繰っていた視聴者も多かったと思う。最後の最後で “主人公の娘も宇宙人” というオチがついたわけだ。
回収されなかった伏線《1》 木南晴夏は理解力がすごい友人
第6話で、木南晴夏演じる清美たちの幼馴染み・綾乃。高橋が宇宙人であると知らされたが、あまり驚くことなく「そういう人もいるんじゃない?」とすぐに受け入れていた。さらに、高橋へお礼としてどら焼きを贈っていたため、宇宙人の口に合うか心配する素振りを見せたが、すぐに「どら焼きはね、どの星でも美味しいから」とポツリ。この発言から、綾乃自身も宇宙人説や、もしくは周囲に他の宇宙人がいる説などが囁かれていた。だが最終話でもなにも触れられなかったため、綾乃はたんに多様性への理解力がハンパないただの友人だったということ。
回収されなかった伏線《2》 坂井真紀とMEGUMIは普通の脇役
坂井真紀が演じるフロントスタッフ・えりは初期から登場していたし、MEGUMI演じるスナックママ・紀子も中盤からよく登場していたが、彼女たちの単独エピソードが掘り下げられることはなかった。 伏線っぽいシーンがあったというわけではないのだが、名女優の坂井や売れっ子のMEGUMIを、ゲストキャラではなく準レギュラー的にキャスティングしていたので、なにかあるのではないかと勘繰ってしまっていた。
回収されなかった伏線《3》 野呂佳代はただの泥棒女
野呂佳代が演じる中本はホテルの清掃スタッフだったが、第1話でテレビを盗んだことがバレてクビになっていた。その後しばらくは出演せず、第6話で再登場。泥棒でクビになったのに『キャッツ・アイ』の主題歌をカラオケで熱唱するなど、アクの強さを見せつけていた。売れっ子の野呂が演じたナイスキャラだっただけに、最終話でも登場して宇宙人、未来人、超能力者といったなんらかの秘密が明かされるかと期待したが、いっさい登場せず。ただ単に図々しい厚顔無恥な窃盗犯だったことになる。
回収されなかった伏線《4》 巨大UFOはただのイメージだった
まず、公式サイトやポスターなどに使用されているキービジュアルには、富士山の上に巨大なUFOが描かれていた。往年のSF映画でよく見るタイプのオーソドックスな円盤型のUFOだ。しかし、この巨大UFO、劇中にはいっさい現れなかった。ただ、けっきょく巨大UFOが登場するような本格SF展開にはならず、このキービジュアルはあくまで物語をミスリードするためのイメージだったわけだ。
回収されなかった伏線《5》 3人はただ『E.T.』を知らない
第1話で清美、葉月、美波の3人が、高橋が語っていた映画『E.T.』(1982年公開)の話をまったく知らないというシーンがあった。その後、3人は『E.T.』という映画があることは知るようだが、アラフォーのキャラクターが、観たことはなかったとしても世界的大ヒット映画の作品名すら知らないのは不自然すぎた。そのため、3人も別の星からやってきた説や舞台が未来の地球説など、世界観の根幹を揺るがすような設定が隠されているのではないかとさまざまな予想がされていた。しかし、3人はシンプルに『E.T.』を知らなかった人たち、ということだった。
